俺はいつものように、平和に睡眠を貪っているはずだった。
が、今日は違った。


「え、あれ?さん・・・?」

「んー・・・銀時・・・」


え?ちょ、え?
・・・おま、何でここで寝てんの!?
てかここ、俺のベッドなんですけどォォォ!
アレだ、確か昨日俺んちに久々に集まって、高杉、ヅラ、バカ本で飲んでたんだよな。
で、ヅラが先に潰れちまって、バカ本は・・・まぁ置いといて、高杉は相変わらずで、は眠いとか言い出して・・・。
やべえ、その後の記憶とか全っ然ないんですけど!
しかもさ、コイツ・・・何で肩出てんの!?
え、嘘だろオイ、まさか・・・な。


「ちょっと、一先ずトイレ・・・?」


とりあえず落ち着きたいし朝の用とか足したいしでを起こさないよう、そろそろとベッドを出ようとしたのだが、の手が服の端を掴んで離さない。
おまけに猫のように丸まり、俺の身体に擦り寄って寝ている。
それはもう、幸せそうに。


「ったくよう、お前も黙ってればちったー可愛げがあるのによぉ」


いや、黙ってなくても可愛げはあるな。
その年齢に似つかわしくない容姿は勿論のこと、普段は絶対言わないけど、実は俺たちのことすげー心配してるとことか。
仲間外れにされると不貞腐れるところとか。
素直じゃないところとか。
全部ひっくるめて。


・・・」


無性に愛しさが込み上げ(妹的な意味で)の額に唇を寄せようと顔を近づけた時、背後で嫌な声が聞こえた。


「おい、てめー何やってやがる」

「あ・・・」

「人の女に手ェだすたァ・・・よっぽど死にてェようだなァ、銀時よォ」

「高杉くん?ちょっと、これには深ーい訳があって・・・」

「ほォ・・・一体どういうワケなのか、是非伺いてェなァ」


高杉が、背後に明らかに邪悪なオーラを纏いつつ、不気味な笑みを浮かべて近づいてくる。
こういう時は大抵、不機嫌度MAXだということを、俺は長い付き合いから良く知っている。
マズイ、非常にマズイ。
しかも、アイツなんかボキボキ骨鳴らしてるんだけど!
え、ちょっと、これは銀さんピーンチ!
おい、お前早く起きろ!
そして俺の無実を証明しろ!
俺は何も悪くねェ・・・俺は何も悪くねェェェ!!!


「・・・うるさい」

「「・・・・・・」」

「2人とも・・・騒ぐならあっち行って」


た、助かった・・・!
高杉が殴りかかろうとする一歩手前で、が起きた。
しかし、の格好を見て高杉の機嫌はさらに悪くなったのは言うまでもない。


「おい、てめーは銀時のベッドで何してやがる」

「寝てる」

「・・・・・・」

「だって銀時がベッドで寝て良いって言ったじゃん」

「え?そうだったか?いや、そんな気もするけど・・・てかお前、何で脱いでんだよ!?」

「えー、だって暑かったから」


良いじゃん、減るもんじゃないし!と微笑むに、俺も高杉も言葉が出なかった。
そういえば、こいつは昔からこーゆー女だったなぁ。


「あー・・・なんかお腹空いたな〜」


そう言うとむくりと起き上がり、まるで俺達なんて最初から居ないとでも言うように脱ぎ散らかされていた服を着始めた。
昔から無頓着で鈍い奴だとは思っていたが、まさかここまでとは・・・。
高杉の方をちらりと見ると、呆れて物も言えない、そんな顔をしていた。
正直、同情せずにはいられない。
は着替え終わると、何事もなかったかのように俺たちを残して部屋を出た。


「こたろー、ご飯まだー?」

「待っていろ、もうすぐ出来る」

「はぁい」


あぁ、今日も平和です。





きっとそんな日常

(ところでお前、どこまで見たんだよ)(へ?)(見たんだろ)(えーと、あの、それはですね高杉君・・・ッ!)



090220