何だか良く分からないけど、朝起きたら目の前に銀時が居た。
それだけでもかなりびびったのに(だって鍵閉まってたし、第一うち15階だよ)、人が低血圧でぼーっとしてるのを良いことに勝手に着替えさせられて挙句に拉致られた。
相変らずこの天パは、訳が分からなくて強引だ。
そして現在に至るのだが、どうやら小太郎の手料理を食べることになった、らしい。
小太郎がエプロン姿で台所に立っているというのは中々見れるものじゃない。
しかもエプロンはピンクだ。
あの、よく新婚さんが着てそうな可愛らしいフリルの付いた、ラブリーピンク。
何度も繰り返すようだけど、ピ ン ク !
最初は銀時とあまりの可笑しさに観察をしていたのだが、それも飽きた。
小太郎が作っている間暇を持て余す私と銀時は、ソファーでだらだらテレビを見ることにした。
「ねー、銀時」
「んー?」
「どうして急に私呼んだの?」
「いや、だってお前にちゃんとしたもん食わせたいから?」
「何で疑問系なの」
変なのーと言って銀時のくるくるな髪を弄くるとくすぐったいと抗議の声が聞こえたが、私は構わず弄くる。
あー、なんかあれだ、あれに似てる・・・何だっけあの甘いふわふわの・・・あぁ、綿飴みたい。
しかも銀時ってすっごく甘い匂いがするから、なんか美味しそうに見えてきた。
そんなことを思っていると、小太郎がそれはそれは美味しそうなお料理を運んで来た。
「おい、銀時の天パは食えないぞ」
「あ、うん」
銀時の頭なんかまじで食べるわけないじゃん小太郎ってば心配性(?)だなーと笑うと、目がまじだったぞと苦笑された。
まじでか。
「え、何お前、静かになったと思ってたら食おうとしてた訳!?」
「何か、綿飴的で美味しそうですよね」
「何で敬語?まぁ、になら食われても良いけどー・・・どっちかって言うと俺が食いたい」
「すいません銀時さん、ちょっくら黙ってくれませんかね」
で、銀時を適当にあしらったところでようやくご飯の時間になった。
小太郎さんの手料理を食べるというのは実は初めてなわけでして、何でもそつなくこなす人だから味の心配はないと思うけど、男の人に作ってもらうという機会はあまりないのでちょっとドキドキだったりする。
テーブルには、主に和食中心の料理が所狭しと並んでいる。
本当に、あのピンクのエプロンを着けていた男が作ったとは思えぬほど美味しそうだ。
私の大好物の大学芋を作れるなんて・・・中々やるなーと早速口に運んだ。
「あ、美味しい」
「そうか」
ヅラって料理上手いんだねって言ったら殴られた(でも痛くない)。
それにしても・・・何でも出来る男だとは思っていたが、本当に何でも出来るんだな、と感心してしまった。
女の私が言うのもアレだけど、かなり、上手い。
筑前煮なんてそんな面倒なもの、私だって作ったことないのに。
味はしっかり染みているのに、薄味で上品な味がする。
小太郎は将来良いお嫁さんになれるねと素直に言うと、隣で銀時が噴出した。
「んー・・・小太郎が毎日作ってくれるなら食べても良いなぁ」
「え?」
「いや、だから、ご飯」
「なになに?ちゃんたら、愛の告白ー?」
「何でそうなるの・・・」
「俺は別に、構わないが」
「本当?じゃあ頼もうかなー」
「え、お前・・まじで・・・!?」
「家政婦★ヅラ」
「き、きもい!まじきもいから!そんな家政婦要らねーよ!」
「い、いや、そこまで言わなくても・・・」
3人仲良くお食事をしていると、ものっそい不機嫌そうなお兄さんが来た。
実は少し前から居たんだけど、誰も気付かないから何も言わなかった。
「え、て言うかお前ら人ン家で何してんの?」
「「「飯食ってる」」」
「ンなこたァ分かってるんだよ!!!」
今にもちゃぶ台返しをしそうな勢いのこのお兄さんは、高杉晋助さん。
ちなみに、この部屋の主だったりする。
そして、ただでさえ目付きが悪いのに、それにプラスしてもの凄く不機嫌な顔で私を睨んでいる。
え?何故って?
だって、この部屋の合鍵を持ってるのは私だけだから。
「ほら高杉、早く座れ。飯が冷めるだろう」
「あ、あァ・・・(ん?あれ?何かこれおかしくない?)」
「やー、やっぱ高杉の部屋って良いよねー広くて!」
「お、これ結構美味いな」
「いっそみんなで住んじまえば良いじゃん」
「あ、それ銀時にしては名案!」
「あれ、今さらっと酷いこと言われた気がするんだけど?」
「銀時、気のせいではなく、そうだが」
「てかお前ら、何でいっつも俺の家居んの?ねぇ、何で?」
そんなこんなで、私達は今日も仲良しです(おわり)。
|